「頭痛がひどいから薬を飲む。でも、薬を飲みすぎるともっと頭が痛くなる?」
そんな矛盾するような状況に心当たりはありませんか?
このような状態を「薬剤誘発性頭痛(MOH:Medication Overuse Headache)」と呼びます。
今回はこのMOHについてわかりやすくご紹介します。
💊 薬剤誘発性頭痛(MOH)とは?
MOHとは、頭痛治療薬の使いすぎが原因で、かえって頭痛が慢性化してしまう状態です。
こんな人は要注意
- 市販の頭痛薬やトリプタンを月に10日以上使っている
- 痛みが治らないため、薬を予防的に飲み続けている
- 「薬を飲まないと不安」「効かなくなってきた」と感じている
MOHは片頭痛や緊張性頭痛の人に特に起きやすいとされています。
🔬 MOHが起こるメカニズム
1. 中枢神経の「痛みの感覚」が敏感に
薬の乱用が続くと、脳幹や視床といった痛みを処理する領域が過敏になり、本来なら痛くない刺激でも痛みとして感じやすくなります。
2. 神経伝達物質の異常
セロトニンやCGRPなどのバランスが崩れ、片頭痛を引き起こす環境が脳内に整ってしまう状態に。
3. 痛みを抑えるシステムの疲弊
脳には痛みを和らげる「下行性抑制系」がありますが、これが薬によって逆に機能低下を起こします。
⚠️ MOHを起こしやすい薬と使用頻度
薬の種類 | 過使用の目安(1か月あたり) |
---|---|
トリプタン製剤 | 10日以上 |
NSAIDs(ロキソプロフェン等) | 15日以上 |
アセトアミノフェン | 15日以上 |
エルゴタミン製剤 | 10日以上 |
カフェイン入り鎮痛剤 | 10日以上 |
オピオイド | 10日以上 |
💡 複数の薬を併用している場合は合計日数でカウントされます。
🩺 MOHの診断と治療
✔️ 診断の基準(国際頭痛分類 ICHD-3)
- 月15日以上頭痛がある
- 薬の使用が過剰(上記の目安以上)
- 薬をやめると頭痛が改善してくる
✔️ 治療の基本は「薬を減らす」こと
- 原因となる薬を計画的に中止または減量
- 必要に応じて予防薬(カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、CGRP阻害薬など)を併用
- 頭痛日記をつけることも効果的です
🧑⚕️ 当院の対応について
当院では、薬剤誘発性頭痛の診断・治療にも対応しています。
神経学的視点から正確に頭痛の種類を見極め、薬に頼りすぎない治療プランをご提案します。
📝 まとめ
- 薬を飲みすぎると頭痛が慢性化することがある
- MOHは気づかずに陥っている方が非常に多い
- 治療は薬の調整と、頭痛そのものの体質改善
頭痛薬を頻繁に使っている方は、一度ご相談ください。
正しく薬を使い、頭痛をコントロールすることが大切です。
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