本日は、多くの方が悩まされている「片頭痛」の病態(原因や体の中で起きていること)について、かいつまんで解説します。
片頭痛とは?
片頭痛(偏頭痛)は、ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴です。頭の片側に生じるとは限りません。吐き気や光・音への過敏さを伴うこともあります。発作は数時間から数日続くこともあり、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
なぜ片頭痛は起こるのか?
現在、片頭痛の詳しいメカニズムは完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。

① 三叉神経の活性化
片頭痛の発作時には、三叉神経(顔の感覚をつかさどる神経)が活性化され、脳の周囲にある血管から炎症性の物質(CGRP※など)が放出されます。これにより血管が拡張し、痛みの神経を刺激します。
※CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド):片頭痛の原因物質の一つと考えられています。近年注目されている抗CGRP製剤はこの作用をブロックすることで痛みのメカニズムを抑制します。
② 脳の過敏性と神経の興奮
片頭痛の患者さんは、脳の感覚処理が過敏であることが知られています。例えば、強い光や大きな音、ストレスやホルモン変動といった刺激に対して、脳が過剰に反応し、発作を引き起こすことがあります。
③ 血管の収縮と拡張
かつては「脳の血管の急な収縮と拡張」が痛みの原因と考えられていましたが、最近では血管の変化だけでなく神経の炎症と過活動がより重要であることがわかってきています。
片頭痛の発作を引き起こす誘因
以下のような要素が、片頭痛を誘発することがあります。
- ストレスや緊張の緩和(週末の発作など)
- 睡眠不足や寝過ぎ
- 特定の食べ物(チョコレート、赤ワイン、チーズなど)
- ホルモン変動(特に月経前後)
- 天候や気圧の変化
- 強い光や音、におい
ご自身の誘因を知ることで、発作の予防につなげることができます。
片頭痛は我慢しないで
片頭痛は「たかが頭痛」と思われがちですが、脳の過敏性や炎症が関わる神経の病気です。適切な診断と治療により、発作の頻度や強さを軽減することができます。
当院では、脳神経外科専門医/指導医による片頭痛専門外来で最新の片頭痛治療(内服・注射・生活指導)をご提供しています。
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